「花粉症と寄生虫」 書いた人:北沢慶
春も爛漫、桜もずいぶん散ってしまったけれど、それにあわせて気温も温かくなってきました。
そしてこの季節は、日本人の多くの人にとって苦難の季節でもあります。
そう、花粉症です。
幸い、今年は暖冬の影響で花粉の飛散率が低いとか。実際、あんまり周りでも花粉症に苦しんでいる人を見ません。
まあ、比率が低いってだけで、大変なのは大変のようですが……。
この花粉症というやつは、一度発症すると基本的には完治しなくて、しかも誰だっていつだって発症するかわからないという厄介な症状です。いまのところまだ無事な北沢も、春が近づくたびに戦々恐々な今日この頃。
そしてこの花粉症に対する特効薬(?)として研究されているものに、「寄生虫」があるのです。
もともと寄生虫が体に与える影響を抑えるために分泌していた抗体が、寄生虫が駆除されてしまったことで使い道を失い、花粉に反応するようになったのでは? という考え方です。
花粉症が増え始めた時期と、寄生虫が駆除されきった時期がほぼ重なることなどから推測され、研究されていったようです。
花粉症だった寄生虫学者の先生は、実際にお腹にサナダムシを飼うようになってからは症状が治まり、ほぼ治ってしまったと自分の体験として書いています。また寄生虫感染率の高い地方や国では、花粉症にかかる人がほとんどいないというレポートもあります。
もちろん、まだ完全に因果関係が証明されたわけではなく、年々花粉症になる人が増えていることから「因果関係はない」という否定論も出てきているので本当のところはどうなのか、よくわかりません(完全に否定されたわけでもありません)。
だけど、寄生している宿主が元気じゃないと、自分たちも困ってしまうのが寄生虫。花粉症だって他の病気だって、治してくれたっていいじゃない――そういう発想から、デモンパラサイトの共生生物のアイデアは生まれてきました。
共生生物は、もちろん架空の存在です。
けれどその生態は、ほとんどまんま寄生虫です。
宿主から栄養をもらって、宿主のために働く。まさに共生。
現実世界では寄生虫と花粉症の因果関係はまだまだ謎ですが、架空世界でぐらい、特効薬になってくれてもいいじゃないの。ってわけで、共生生物を体内に入れていれば、病気知らずの健康体になるのです。
ただお腹は猛烈に減るので、食糧事情が劣悪な環境では、命取りになりかねないわけですが。
でもやっぱり、共生生物は欲しいなぁと常々思う北沢です。
だっていまの倍ぐらい仕事できそうだし、病気にはならないし、なんたっていくら食べても太らないわけですから!(←結局そこか)
あ、ちなみにダイエットや花粉症治療目的で、本当に寄生虫を体に入れるのは危険です。研究者の人たちは人体実験に自分の体を使っているだけで、やっぱり副作用も多いようなので。
なので、研究者のみなさんの研究が実ることを、心待ちにすることにしましょう。
さすがに変身までは、できないだろうなぁ……(←残念なのか?)